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産経新聞三日市専売所経営 安井正彦さん no.213

今月の人
高齢者を対象に、笑いいっぱいの三味線漫談ショー。 南河内・堺エリアで、ボランティア公演いたします
産経新聞三日市専売所経営・松竹芸能所属
安井正彦さん・暁 光雄さん
安井正彦さん●1962年、堺市生まれ。河内長野市在住。産経新聞三日市専売所経営。趣味は釣り。          暁 光雄さん●1962年、堺市生まれ。松竹芸能所属。音曲漫才コンビ「暁照雄・光雄」として活躍、現在は暁トリオとして活動中。
安井正彦さん・暁   光雄さん

お世話になった方々が高齢化。恩返しの気持ちで公演活動

 

 河内長野市にある、とある特別養護老人ホーム。リビングスペースに集まった高齢者たちが、にっこり笑顔を浮かべたり、時には「あっはっはっは」と声を上げて笑ったり、明るく和やかな笑い声が室内に響く。みんなの視線の先にいるのは、三味線を弾きながら漫談をする暁光雄さん。忠臣蔵を題材にした都々逸や童謡なども盛り込みながら、会場を明るく盛り上げるショーを繰り広げている。暁さんは、かつて「暁照雄・光雄」(15年、照雄さんの死去により解散)という音曲漫才コンビで活動、現在は「暁トリオ」として劇場にも立つキャリア35年のベテラン芸人だ。

 そして、その暁さんによる「三味線漫談ショー」の風景を後ろから見守るように立っているのが、「僕もみなさんと同じように笑いながら見ています(笑)」と言う、産経新聞三日市専売所所長の安井正彦さん。暁さんと安井さんは、3年前から2〜3カ月に1回ほどのペースで、このような老人福祉施設での公演活動をボランティアで続けている。

 そもそもお二人がこのようなボランティア活動を始めたきっかけは何だろうか?

「僕らも50代後半になって、世の中に恩返しがしたい気持ちになってきたんですよね。僕は河内長野で30年間、新聞販売所を経営してきたんですけど、この仕事を始めてから地域の方々に新聞を取っていただいたりして本当にお世話になったんです。でも、30年も経つと、お元気だったはずのお客さんの姿が地域で見られなくなることが増えてきました。どうなさったんですか?とご家族にお聞きすると特別養護老人ホームに入所されたというお話を聞くことが多くなってきて……。お世話になった方々が高齢化して施設に入られるということが増えてきたという現実を前にして、何かできることはないかとずっと考えていたんです」 

 安井さんと暁さんはともに堺市生まれで、高校時代の同級生。高校卒業後はお互いに紆余曲折がありながらも時々会って食事をするなど、ずっと気心の知れた仲だった。3年前、「お世話になった地域の人たちに、何かお返しをしたいと思ってるねん」という思いを暁さんに相談してみたところ、「俺もそう思ってたんや」という返事が返ってきた。そうなると話は早い。「地域の高齢者施設を中心にボランティア公演をして回れないだろうか」と胸に温めていたアイデアを話したところ、「それはいい。よっしゃ、そうしよ」と二人の間ではトントン拍子に話が詰まり、さっそく二人でのボランティア公演活動がスタートした。

 暁さんにとっても、現在70代、80代を迎えた高齢者の方々には特段の思いがあるという。「1970年代の漫才ブームの時に応援してくれた世代の方々なんです。あの時に支えてくださった方々にささやかな笑いの時間をお届けできることは、私にとっても本当に幸せなことです」と、この活動に込めた思いを話す。

 

笑いを届けることは大きな喜び。目標は100回!

 

 最初の公演先は、安井さんのそんな思いを知った地域の特別養護老人ホームの担当者から、「うちの施設でお願いできませんか?」という声が掛かって実現した。その後、主に知人による口コミによって少しずつ依頼が入り始め、問い合わせがあると安井さんが予定を調整、自家用車を運転して、暁さんと一緒に公演先に向かうという二人三脚で公演活動を続けている。

 これまでの公演で印象深かったのは?とお聞きすると、安井さんはこんなエピソードを教えてくれた。「重度障害者の方が入居されている施設へ伺った時、まったく体が動かせない状態だという方が最後に一生懸命に拍手をしようとしてくださる姿を見て胸を打たれました。笑いをお届けするという活動が、ひとときでも日々の楽しみの時間になっているとしたら、こんなにうれしいことはありません」

 笑いは、心も体も元気にすると言われる。「今、高齢の方々は若い頃、笑いたい時に漫才や落語などを見に行っていた方が多いんです。ですからその当時の、昭和真っただ中のネタをすると本当に喜ばれますね。久々に思いっきり笑ったと言っていただけると、笑いをお届けすることには大きな意味があるのだと、うれしいと同時に大きな使命感を覚えるんです」と暁さんは話す。

 その日の公演が終わると、二人で打ち上げをするのが恒例になっていると話す安井さん。「毎回、今回の公演はこんなネタを喜んでもらえたね、笑いがたくさん起こって誰もが楽しそうだったね、と二人で振り返るんです。恩返しがどこまでできているのかはわかりませんが、公演を見てくださった方が少しでも笑ってくだされば、続けてきてよかったという気持ちになれますね」

 この4月、28回目の公演を行ったお二人。声が掛かる先は、老人ホームだけでなく、老人会などにも広がってきた。「去年は、河内長野市のすべての老人会が集まるショーがラブリーホールで行われ、僕たちも参加させていただきました。まだまだお元気な方が多いので、こちらが逆に元気をいただくことも多いんです」

 公演時間は、暁さんのワンマンショーの場合は40分、落語家のすずめ家ちゅん助さんが加わる場合は1時間。高齢者の方々の体調を考慮して、できるだけコンパクトな時間配分を心がけているという。

 これからもライフワークとして体力が続く限りは、このボランティア公演を続けていきたいと二人は考えている。とりあえずの目標は、公演活動を少なくとも100回続けることだそうだ。南河内、堺エリアなら、スケジュールが合う限りは無料で駆けつけるという。

お問い合わせはお気軽に、090—3269—0003、安井さんまで。 

 

(取材・文  松岡理絵)

 

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