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河内こんだハニワの里 大蔵屋 大蔵印刷工業 企画営業部 朝野亜紀子さん no.226

今月の人
「おうちで埴輪を作ろう」セットを企画。 古墳のまちを、いつか埴輪いっぱいのまちにしたい
河内こんだハニワの里 大蔵屋 大蔵印刷工業 企画営業部
朝野亜紀子さん
1974年、羽曳野市出身。羽曳野市在住。趣味は古墳巡り。好きな古墳はそばにある応神天皇陵。
朝野亜紀子さん

メモや付箋、マスキングテープ
かわいくて勉強になる古墳グッズ

 

 応神陵古墳や白鳥陵古墳……、古市古墳群を構成する大小さまざまな古墳が点在する羽曳野市。百舌鳥・古市古墳群が2019年7月に世界文化遺産に登録されてからは、観光客を迎える準備も少しずつ進んできた。

 そんな羽曳野市役所のそばに、壁面に大きく埴輪が描かれた建物が見える。その名も「河内こんだハニワの里 大蔵屋」。階段を上り、2階にある入り口から中に入ると、目の前に広がるのは古墳グッズの販売スペース! 古墳メモや古墳手帳、古墳クッキーに古墳バッグ……。古墳ポーチやハニワ型のアクセサリーなど、30人を超えるハンドメイド作家によるアイテムも並ぶ。

 ここで一番人気だという古墳マスキングテープは、テープに「前方後円墳」「方墳」「円墳」など、さまざまな古墳がその名称付きで描かれていて、心をくすぐる。

「かわいいだけでなく、勉強にもなる。弊社オリジナルの古墳グッズはそんなコンセプトで作っています」。そう話してくれるのは、大蔵屋の母体である大蔵印刷工業・企画営業部の朝野亜紀子さんだ。大蔵印刷工業は印刷物やWEBサイト、スマホアプリなどの企画制作を行う、地域に根差した地元企業。朝野さんは大学卒業後、旅行会社に就職して窓口業務に従事していたが、その後、出産を機に退社。専業主婦時代を経て、子育てが一段落したことで再び働き始めたのが17年前のこと。以降、生まれ育った羽曳野の地で、「業務内容を冊子やパンフレットにまとめたい」「情報を効果的に発信できるスマホアプリを作りたい」といった顧客からのさまざまな相談に、持ち前の明るい笑顔で対応している。

 そんな同社が、古墳グッズを作り始めたのは4年前にさかのぼる。地域の企業や市民が力を合わせて世界遺産登録推進を応援する「もずふる応援隊」のメンバーに加わり、その機運を盛り上げる企画の一つとして古墳モチーフのグッズの制作をスタートしたのだ。「地元企業として何ができるのか。企画印刷業なので、メモや付箋、マスキングテープなど、〝紙〟を使ったアイテムを作ってみようと考えました」

 最初はノベルティとして制作した「付箋」だったが、予想を超える「かわいい!」「販売してほしい」の声が届いたことで、商品として販売することとなる。「若い人にも興味を持っていただけたのがうれしいですね。私自身、この羽曳野で育ったものの、子どもの頃はそれほど古墳に関心がなかったんです。こういった古墳グッズが地域の歴史遺産に目が向く、一つの入り口になれたらと思っています」

 古墳グッズが縁で、各地の古墳イベント、歴史イベントにも声がかかり始めた。そしてそのネットワークは今では全国にまで広がったという。「古墳やハニワをキーワードに各地に知り合いが増え、私自身、世界が広がりました」と朝野さん。

 その後、同社はビルをリニューアルし、世界文化遺産登録目前の2019年4月に2階フロアをショップ&ギャラリーに、そして1階部分にはなんとハニワを作れる工房を設けたのだ。

「この辺りには古墳も多いのですが、埴輪を焼くのに使われた窯跡も数多く見つかっているんです。そこで社長が、うちもそんな埴輪工場のような存在になれたら……と埴輪工房を発案。そばに古代を感じながら、粘土をこねて自由なかたちの埴輪を作れるスペースを作りました」

 

応神陵のそばにある埴輪工房
1年で1000人が体験

 

その工房には、オープンから約1年で1000人以上の人が訪れたという。「ファミリーや年配の方が多くお越しになるかなと思っていたら、若いカップルやお友達同士でもお越しいただくなど、幅広い世代の方が埴輪づくりを楽しんでくださっています。近くの保育園の子どもたちもみんなでわいわいと埴輪を作ってくれました。お一人さまでもグループでも、大歓迎です」

 粘土を親指の太さぐらいの棒状に伸ばし、それを輪にして積み重ね、表面を整えながら思い思いの形を作っていく。一般的に思い浮かぶスタンダードな埴輪のデザインだけでなく、表情も手の動きも自由。楽器を持たせたり、帽子をかぶせたり、文字を刻んだり、装飾もアイデア次第だ。「人型だけでなく、この辺りの古墳で見つかっている水鳥型の埴輪もおすすめですよ。馬型も少し難しいですが、写真を見ながらぜひ挑戦してみてください」

 形を整えた後は、乾燥させ、そして工房にある電気の窯で約1日焼き上げる。すると世界にたった一つの埴輪が完成だ。また、昨年の夏には「ハニワ(828)の日」として8月28日に「828GP〜埴輪づくりコンテスト」を開催。個性豊かな作品が多数集まった。

 コロナ禍の今、工房へ出向くのは難しくなってしまったが、そこで「おうちで埴輪を作ろう」セット(2人分で3000円+税)を企画したという朝野さん。

「粘土1㎏と説明書、板や木べら(要返却)など、埴輪を作るのに必要なものを段ボールに入れてお渡しします。おうちで埴輪を作り、2週間自然乾燥させたあとにお持ちいただくと、こちらの窯で焼き上げます。おうちにいる時間を活用して、ぜひ楽しんでいただけたら」

 夢は、このまちのあちこちに埴輪が飾られている風景が見られるようになること。「たとえば、沖縄のシーサーのように、この古墳のまちのいろんな場所に埴輪が飾られていたらいいなあと思うんです。近鉄古市駅を一歩降りたら、まちに埴輪がいっぱい!というような(笑)。この古墳の文化に興味を持ち、知り、楽しみ、そして次世代につなぎ、古墳を大切に守っていく。埴輪グッズや埴輪作りがそんな意識をもつ一つのきっかけになれたらいいなと思っているんです」

 ステイホームの日々、粘土をこね、埴輪を作りながらこの地域の1500年前に思いを馳せてみる。そんな時間は、地域の過去と今、そして未来を考える時間になるかもしれない。

(ライター  松岡理絵)

 

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