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創作料理 靖浩 店主 田中靖浩さん no.227

今月の人
仕込みも盛り付けも、細部まで決して手を抜かない。 地元で愛され続け、今年でオープン21周年!
創作料理 靖浩 店主
田中靖浩さん
1973年、松原市生まれ。河内長野育ち。趣味はバイク、ツーリング、登山など。子どもと一緒にダイヤモンド・トレイルを歩くことも度々。
田中靖浩さん

器の中に広がる多様な世界
繊細な中にも力強さがある和食

 

 南海高野線「千代田駅」から西へ徒歩10分。季節ごとに美しい風景を見せる寺ケ池公園のそばに、「創作料理 靖浩」はある。ランチタイムにはおもに女性たちが、ディナータイムにはファミリーや友人グループなどでにぎわうが、一人で訪れる昔からの常連さんたちもとにかく多い。今年、オープンからなんと21周年。幅広い世代に、長く長く愛されているお店なのだ。

「ありがたいことです。自分のお店を出す時に考えたのは、子どもから大人まで、どんな方でもリラックスしてお料理を楽しんでいただける店にしたいということでした」

 そう話してくれるのは、店主で料理人の田中靖浩さん。料理の道を歩み始めて28年。気さくな人柄と、味はもちろん見た目も美しく仕上げる一品一品がお客さんたちを魅了し続けている。

 田中さんは、子どもの頃から料理を作るのが好きだった。「何かを作るという作業が好きで、大人になったら職人になりたいと思っていたんですよ。職人といっても思い描いていたのは料理人か大工。どちらも興味があったんですが、高校生の時には料理の道に進むと決めていました」

 高校卒業後は料理の専門学校へ進み、1年間料理の基礎をみっちりと学んだ。その後に選んだ就職先は、堺市にあった大手ホテル。専門学校の教員から、ホテルでは幅広いことが学べると薦められたこともあり、そのホテルの和食部門で1年半働いた。「和食を選んだのは、繊細な美しさの中に力強さも感じられるから。食材で季節の移ろいを表したり、細やかな盛り付けで表現の幅が増したり、器の中に多様な世界を創り出せるのが魅力に思えたからです」。そして、そこで一人の先輩料理人と出会う。「その先輩が地元の九州のホテルに入ることになり、僕にも『こっちのホテルで働いてみないか』と声をかけてくれたんです。呼び寄せていただいたホテルでは、これまでとはまた違った九州独自の調理法や伝統料理を学ばせてもらいました」

 そこでは、もちろん知り合いはいない。「なので遊ぶこともなく、家と調理場を往復するだけの日々。ひたすら仕事仕事でした(笑)。この下積み時代は、先輩に言われたことに黙々と取り組んでいたんですが、その頃には専門学校時代の同級生ですでにチェーン店の店長になった子もいて、正直、うらやましいと思ったこともありましたね。でも、焦らず、今はしっかりと技術を身につける時期なんだと自分に言い聞かせて仕事に向き合っていました」

 九州に身を置いて2年が経った頃、阪神・淡路大震災が起こる。家族が心配になったこともあり、田中さんはそれを機に大阪へ戻ることにした。それからしばらくは、フグのさばき方や調理法を学ぶためにフグ料理店で働いたり、中華やイタリアン、アジアンなど意識的に多ジャンルのお店で働いたという。「どの料理もすばらしいところがあるじゃないですか。それを学んで、自分の料理に取り入れていきたいと思ったんです」

 その後、兵庫に新しくできるホテルの和食店で、副料理長というポジションの声が掛かった。「ホテルの新規オープンというのは大きな経験ですから、挑戦してみようと思いました。でも、そこではとにかく毎日が忙しすぎたし、決まり事も多すぎた。部下を持つという経験も、初めてだったこともありとても難しく感じたんです。そんななかで、僕は大きなお店の料理長を目指すのではなく、こじんまりとでも自分のお店を開いて、もっと自由にお料理を作りたい。そう考えるようになったんです」

 

地元産フルーツを使った、手作りジェラートも大好評

 

 そうして愛着のある地元の河内長野で物件を探し、26歳の時に「創作料理 靖浩」をオープン。すべての料理を、自分で自由に考えて丁寧に作るということに強くこだわった。「当時は今のようにネットが普及していなかったので、毎日朝からチラシを配って回りました。最初は知り合いもたくさん来てくれて、むちゃくちゃ忙しかったんですが、そのうち暇な日もできて……。そこで料理内容をさらに工夫したり、やめていたランチを復活させたりと気合いを入れなおして、なんとかまたたくさんの方に来ていただけるようになりました」

 そして、31歳の時に移転してきたのが現在の場所。テナントではなく、思い切って購入したことで内装も自由に手を加えることができた。

 食材は引き続き、毎朝自分で市場へ向かい、新鮮な魚を仕入れている。野菜は地元・河内長野産をふんだんに使う。また、両親の故郷である石川県からも食材やお酒を直送してもっているという。「それらをどう料理にするか—。アイデアは趣味のランニング中や、器のお店で器を眺めている時に浮かんでくることが多いです。この器にはこんな料理が合うかな、とか」

 また、にこやかな接客でお店の雰囲気を和らげているのは、「本当に助けられてばかりです」と田中さんが絶大な信頼を寄せる妻の博美さんだ。二人の出会いは、20数年前のスポーツジム。ともにインストラクターのアルバイトをする中で意気投合したという。その博美さんは田中さんの仕事ぶりを「とにかく料理には真面目すぎるぐらい真面目です」と言う。「飾りや盛り付け、仕込み……、毎日気が遠くなりそうなことを決して手を抜かずにやりきるんです。少しでも手間を省けば、舌触りや仕上がりが違うものになるからと、料理にはとことん真剣です」

 だからこそ、料理を出した時にお客さんの喜びの表情や驚いた表情が見られた時は、心の中でガッツポーズするという。「帰り際に、また絶対に来ますと言ってもらえた時も本当に嬉しいですね」

 そんな二人三脚も21年を迎える。「子どもが3人いるんですが、一人目が生まれる時からずっと見守り続けてくれているお客さんもいますし、逆に、子どもだったのにいつの間にか成人して結婚して赤ちゃん連れで来てくださるお客さんもいます。お互いに人生の節目を共有させていただいているようで、21年という月日の長さを実感します。と同時に、あっという間だったとも感じていて、まだまだやりたらない気がしています(笑)」と田中さん。

 近年の一つの挑戦は、手作りジェラートだ。他府県に遠征するぐらいアイス好きだという田中夫婦が、「私たちも作ってみよう!」と試行錯誤を経て、オリジナルジェラートを完成させた。イチジクやナシ、トマトなど地元産食材を使ったジェラートは特に人気だそうだ。

「挑戦したいことはたくさんありますが、コロナ禍を経験した今、ここでしか食べられない創作料理とリラックスしていただける雰囲気をこれからも誠実に提供し続けていこうと思いを新たにしています」

(ライター  松岡理絵)

 

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