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医師、免疫細胞療法担当医 中村光利さん no.234

今月の人
体内の免疫力のバランス調整と正常化を目指す。 免疫治療を、がん治療の土台となる位置づけに。
医師、免疫細胞療法担当医
中村光利さん
大阪市生まれ。1985年、奈良県立医科大学卒業。市立松原病院、大阪警察病院、奈良県立奈良病院、医真会八尾総合病院等を経て、98〜2000年、WHO国際がん研究機関分子病理研究生。奈良県立大学脳神経外科・病院助教。日本がん治療認定機構、日本脳神経外科学会、日本抗加齢医学会、日本脳卒中学会、日本認知症学会の各専門医。
中村光利さん

ベン・ケーシーに憧れて脳外科医を志す
フランスのWHOでも研究

 

 藤井寺市から車を走らせ約1時間15分ほど。万葉集ゆかりの地でもあり、見事なシダレザクラ「又兵衛桜」でも知られる奈良県宇陀市に、遥か海外からも訪れる人が止まない医療施設「グランソール奈良」がある。山々の緑に抱かれるようにして建ち、玄関ドアの向こうに広がるのは、まるでホテルのような優美なエントランスロビー。少し身構えてしまいがちな検診や診療も、まずはここでホッとリラックスできる。

 ここで提供される医療サービスは、総合精密人間ドック、脳ドック、レディースドック(婦人科検診・乳がん検診)、肺がんドック、大腸がんドック、健康診断、がん免疫細胞治療、内科、消化器内科、婦人科、放射線科、歯科、オーダーメイドサプリメント、肥満予防健康教室、特定保健指導……と、とにかく多岐にわたる。身体の悩みや心配事に、あらゆる角度から向き合ってくれる施設なのだ。

 その中でも注目を集めているのは、「がん免疫細胞治療」と呼ばれる先端医療だ。そして、その「がん免疫細胞治療」を担当するのが、医師の中村光利さん。医師として35年のキャリアを持ち、発表した論文数は117を数える。

 大阪市で生まれ育った中村さんは、子どもの頃に脳外科医の主人公が活躍するアメリカのドラマ「ベン・ケーシー」を見て、医師に憧れたという。その夢に向かって医学部に入学、進路は迷いなく脳外科を選んだ。「神経科学に関心があったんです。神経系の病気や脳腫瘍を知るためにはまずは病理を学ぶとよいと恩師にアドバイスを受け、まずは病理に取り組みました。以降、脳神経科学にかかわりながら脳腫瘍の研究を続けています」

 医師となって5年目の頃、参加した学会で東京大学のある医師が「38年前に脳外科医になったが、脳腫瘍の治療成績は38年経ってもまったくよくならない」と口にした。「それだけ脳腫瘍というのは難しい分野でもあるんです。そして、その時にその医師が『君たちはこの先20年、30年がんばって、脳腫瘍が治るようにしてください』と言ってくださった。その言葉を聞いて、脳腫瘍についてしっかり研究し、患者さんを治したいという気持ちがさらに強くなりました」

 研究を深めるため、98年から2年間、WHO国際がん研究機関の分子病理研究生としてフランスのリヨンで研究を深めた。「私が脳腫瘍の研究をしている頃、ある先生がPD─1(免疫が過剰に働いて正常な細胞を攻撃することがないよう、その働きを抑制する分子)を発見されたのですが、その頃はまだ免疫療法というのはほとんど注目されていませんでした。それでもその先生は研究や追跡調査を続け、それが最終的に2018年のノーベル賞に結び付いたのは本当に素晴らしいことだと思います」と中村さんは言う。

 がん細胞を免疫細胞が抑え込むということが証明され始めたのは2000年以降と意外と最近のことだという。また、オプジーボほか免疫チェックポイント阻害剤の使用で治る可能性のある患者がいることで、近年になってさらに免疫治療が注目され始め、中村さんも免疫治療について研究を重ねていく。

「私の世代が医学生だった頃は大学で免疫について学ぶ機会はほとんどありませんでした。ですから、すべての医師が免疫について必ずしもよくわかっているとはいえないでしょう。また同時に、免疫の学者が必ずしもがんについてよくわかっているわけでもありません。ですが、現代において最良のがん治療を提供するためには、がん治療と免疫治療のどちらも必要だと考えています」

 

自身の免疫細胞を活性化
集学的治療で効果を期待

 

 今、中村さんはグランソール奈良で「がん免疫療法」に取り組んでいる。そもそも免疫とは何か。「自分の体の中に何か〝災い(疫)〟が入ってきた時に、逃れさせてくれるのが免疫です。もともと体に備わっているものですが、ストレスや疲れ、既往症があると働きが悪くなります。免疫を下げないために日常生活でできることとして、睡眠を取り、好きなものを食べて、1日30〜40分ほど適度に運動して、楽しく生きることが大切です」

 ここで行われている治療は、自身の血液を採り出し、そこからリンパ球(免疫細胞)を採取し、試験管の中で培養・活性化して増殖し、それを体の中に戻すというものだ。

「体内の免疫力のバランスの調整と正常化をおこなう〝活性化リンパ球治療〟です。一般的に、誰もが、紫外線やタバコ、ウイルス、ピロリ菌……さまざまな要因から一日に約3000〜5000個の細胞の遺伝子に傷がつくと言われています。遺伝子の傷が蓄積されていくと、がん細胞となるのですが、蓄積されていく前に細胞自身がその傷を治す自浄作用があります。修復しないまでも老化しておとなしくしているという場合もありますし、アポトーシスといって細胞が自然につぶれる場合もあります。そして、それらをすべて逃れてがん細胞に向かう時に、さらに守ってくれるのが自身の免疫細胞なのです。3000〜5000個のうちどれほどががん細胞に向かうかは不明ですが、仮に20〜30個が向かうにしても免疫細胞が抑え込みます。しかし、免疫力が落ちていたり、何らかのバランスが崩れていたりすると、がん細胞の勢いが増してしまうのです」

 これまで、がん免疫治療を600症例以上を担ってきた中村さん。「患者さんにいつもお願いしているのは、主治医やかかりつけ医と一緒に治療をしたいということ。標準治療はできるだけ続け、かつ、ここでの免疫治療を受けるということが一番望ましいと考えています。なぜなら、免疫治療は、いわゆるがん治療の3本柱(抗がん剤、手術、放射線治療)の土台にあるべきものであり、独立した4本目の柱ではありません。両立することでより現状維持や効果が期待できるといえます。お一人おひとりの状態も異なります。患者さまやそのご家族に納得のいく説明をさせて頂きますので、気楽にご相談ください」

 現時点では自由診療のため高額になることもハードルの一つだが、まずは「がん免疫療法」についてもっと知りたいという場合には、治療の有無にかかわらず相談することができる。二人に一人ががんに罹患するという今、日進月歩で進む医療について、一つでも多くの情報を知っておきたい。   

(ライター  松岡理絵)

 

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